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容疑者Xの献身（東野圭吾、文藝春秋、２００５年８月） 下線のある言葉にルビを付けなさい。 一、三月に入ったとはいえ、まだ風はかなり冷たい。マフラーに顎を埋めるよ １ ２ うにして歩きだした。 二、彼は両手をポケットに突っ込み、身体をやや前屈みにして足を送りだした。 ３ ４ 三、厚い雲が空を覆っていた。その色を反射させ、隅田川も濁った色に見えた。 ５ ６ 四、橋を渡ると、彼は袂にある階段を下りていった。橋の下をくぐり、隅田川 ７ に沿って歩き始めた。 ８ 五、肉体労働をするつもりなら、こんな時間にうろうろしていない。そうした 仕事の斡旋が行われるのは早朝だ。 ９ １０ 六、近づいていくと彼女も石神に気づいたようだ。微笑み、小さく会釈してき １１ １２ た。彼も会釈した。 七、代金を支払う時になってようやく、「寒いですね」といってみた。だが彼の １３ ぼそぼそと呟くような声は、後から入ってきた客のガラス戸を開ける音にかき １４ 消されてしまった。 八、客が来ない間は、靖子は厨房を手伝うことになる。 １５ １６ 九、あのいかにも堅物そうな人物がデートに誘ってくるとしたら、一体どんな １７ １８ 顔をして切り出すのだろうと思った。 十、靖子は額に手を当てた。軽い頭痛が始まっていた。吐き気もする。絶望感 １９ ２０ ２１ ２２ がゆっくりと彼女の胸に広がっていった。 十一、会社から訴えられなかったのは、管理責任を問われるのを恐れた上司た ２３ ２４ ちが、巧妙に事態を隠蔽したからだ。 ２５ ２６ 十二、土下座までする彼の姿を見ていると、芝居とわかりつつ、哀れに思えた。 ２７ ２８ 十三、突然ドアホンが鳴った。靖子は訝しく思いながら玄関に出て行った。 ２９ ３０ 十四、保証人なしで入居させてもらっているだけに、少しでも妙な噂がたてば ３１ ３２ 追い出される恐れがあった。 十五、富樫は図々しく、六畳間の中央に据えられている炬燵に足を入れた。 ３３ ３４ ３５ ３６ 十六、美里は靖子をちらりと見ると、運動靴を脱ぎ、無言で部屋に上がってき ３７ た。そのまま奥の部屋まで進むと、仕切の襖をぴったりと閉じた。 ３８ 本文来源：https://www.dywdw.cn/e7b31d4bcf84b9d528ea7aae.html
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2023-04-16
